米国が利上げしたときの悪影響を懸念

2015年7月15日にイエレンFRB議長が下院金融委員会で行った証言を見直してみました。議会証言の要旨はロイター報道に基づきます(http://jp.reuters.com/article/2015/07/15/yellen-quotes-idJPKCN0PP27V20150715?pageNumber=4&sp=true)。一見して感じられることは、年内利上げの達成に向けて非常に強い意志を表明しているということです。おそらく、現状の米国雇用環境が明確に悪化するサインが指標に出てこない限り、FRB が利上げを延期することはないでしょう(もちろん、海外情勢についてもコメントをしているので、今後ヨーロッパや中国で不測の事態がおこれば、金融政策の決定にも影響があるでしょうが、相当な悪材料が顕在化しなければこれを考慮することはないでしょう。)

では、米国で利上げがあったときのインパクトはどの程度のものなのか、私が保有している米国モーゲージREIT の一社、CYS Investments Inc のCEO は7月23日に行ったカンファレンスにおいておもしろいコメントをしていました(http://seekingalpha.com/article/3349875-cys-investments-cys-ceo-kevin-grant-on-q2-2015-results-earnings-call-transcript?part=single)。それは「利上げ幅が50ベーシスポイント(0.5%)に達したら多くのトラブルが発生し、利上げ幅が100ベーシスポイントに達したら米国景気は壁にぶち当たるだろう」というもので、その背景には「現在、米国にはAdjustable Rate Mortgage (一種の変動金利住宅ローン、利上げがあれば借り手の利払いが上昇することになります)の残高がUSD 400Bil. (4,000億ドル)もあり、また米企業の変動金利債務は(同CEO が過去に調べた時に)USD 600Bil. (6,000億ドル)もある。もし100ベーシスポイントの利上げがあれば彼ら借り手の状況に大きなインパクトを与え、利上げ後1年ほどの間にその問題が顕在化するだろう」という趣旨の発言をしています。このため、同CEO は「イエレン議長は利上げのペースを『非常に』ゆっくりしたものにするだろう」としています。

おそらく、現時点で雇用環境の改善がみられる米国ではそのような状況になると思われますが、米国利上げの影響を受けて大きな資本流出の懸念がある新興国はどうなるのでしょうか?個人的にはブラジルとインドネシアで経済への大きな悪影響が出ないか懸念しております。インドネシアではジョコ・ウィドド大統領が進める野心的なインフラ整備プロジェクトへの期待や法人税減税実現への期待感(現状25%の法人税を17.5%近辺まで段階的に進めるもの)から景気持ち直し期待が高まっていますが、低迷する資源価格に米国利上げが重なれば悪影響が大きいと懸念しております。またブラジルはすでに4四半期連続のマイナス成長、高いインフレ率を抑制するために避けれない高金利、プライマリーバランス目標を達成するための緊縮財政継続、前年から続く国営石油会社ペトロブラスの汚職事件の影響など、悪材料に事欠きません。すでに悪化した経済状況を理由に大手格付け機関からの格下げ懸念が現実化すれば借り入れコストの上昇は避けられず、一段の景気悪化を招くこととなりかねません。そのようななかで米国の利上げは資本流出を後押しするものとなり、ブラジル経済に深刻な影響を与えるのではないかと思うのです。

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