差し迫るユーロ圏の危機に思うこと

先の国民投票において、ギリシャ国民は「国際債権団から要求されていた財政緊縮案にNo」という判断をしたのですが、Noに投票した多くは若者であったと言われています。すでに約5年にもなる財政緊縮策により消費税は上がり、退職者への年金は削られ、需要創出ができなかったギリシャでは若年層の失業率が20%を超えていたということですから、国民投票では極論すると

Yes に投票 = ある程度の金融資産を持っていて、ギリシャがEURを使えなくなることで財産状況が悪化する人

No に投票 = 財産もなく失業しており、家族が得ている給料や年金に頼って生活している人(もしくは「何が起ころうとすでに失うものがない人」)

だったのではないでしょうか。我々日本人や、他の先進国で生活している人間からすれば「No に投票したら銀行預金も引き出せず、EURを法定通貨として使えなくなれば新通貨への切り替えで価値が大きく既存してしまう恐れもあるため、きっとYes に投票する人が多いはず」と予想していたものの、実際には「職もなければ金も持っていない。この上さらに消費税増税や退職者への年金カットで景気悪化しかないのであれば、いっそNo に投票して債権者から何らかの譲歩を引き出せるかもしれないほうに賭けたほうがまし」と考える人が多数になっていたとしても不思議ではありません。

ただ、政府が国民投票前に主張していた「銀行預金の引き出し制限は7月6日まで」という資本規制は解除できるわけもなく、さらに厳しい資本規制が近々実行されるかもしれません。このような事態にあってはギリシャの治安状況の悪化は避けられないでしょうし、このままギリシャが破綻、そして最終的にEUからの離脱ということになれば第二次世界大戦後ヨーロッパが目指してきた理想が一気に崩れ去ることになります。それは単に金融市場を揺るがすというようなショックではなく、ヨーロッパ全体の政治的問題であり、ヨーロッパの地政学的リスクを著しく高めることにつながりかねません。

ギリシャ国民投票の前に、ドイツのメルケル首相は「ギリシャ国民がどのような判断を下すのも民主主義国家であるので自由だ。ただ、ギリシャが民主主義国であるように他の国家も民主的に判断を下す権利を持っている」というような趣旨の発言をしていたと記憶しています。これは「ギリシャが財政緊縮策に反対と言うことはできるが、では財政緊縮策に反対するギリシャに対して金融支援をするかどうかを債権国の国民だって民主的に決断できる」ということなのでしょう。ただ、もしドイツが金融支援を拒否したら、おそらくギリシャが破綻を回避することは非常に難しく(ロシアや中国から金融支援をうけるという可能性も否定できませんが、それは新たな地政学リスクを生み、ヨーロッパ諸国が受け入れられる事態ではないと思います)、EU全体に回復不可能なほど非常にネガティブな影響が出ると思われます。2017年末までにイギリスで行われるEU離脱を問う国民投票でも「離脱賛成」が多数の判断がされるリスクも高まります。

ここは、ドイツ国民としては受け入れがたい政治判断になると思われますが、メルケル首相に英断いただき、早急にギリシャが受け入れられる金融支援策の交渉を始めるべきかと思います。

 

以下、ロイターの記事2本です。ご参照まで。。。

1) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH08120150707?rpc=122

2) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH25V20150707

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