本日は米国mREIT が大きく値上がり中

2015年7月7日のニューヨーク市場で、モーゲージREIT(いわゆるmREIT)が買われています。当サイトの「ごあいさつ」をお読みいただいた方は私がニューヨーク証券取引所に上場されている「CYS Investments Inc(以下”CYS”)」を保有しているということをご存じかもしれませんが、このCYS もmREIT の一角で、昨日の終値が一株7.900米ドルだったのに対して、東京時間午前3時過ぎに8.120米ドル(前日比+0.220米ドル/+2.72%)まで値上がりしております。今週に入って、ギリシャのEU離脱リスクや中国株大調整といった悪材料が市場を覆い、米国株式の主要インデックスであるS&P500 も前日比でマイナス圏に入る中、値を上げているmREIT とはどのような金融商品なのか、簡単に解説したいと思います。

mREIT という名称からも想像できる通り、米国における不動産投資信託(REIT)の一種に数えられている有価証券ですが、mREIT は他のREIT と異なり、実物不動産を一切所有しておりません。では何を保有しているのかというと「モーゲージ証券・モーゲージ債」と呼ばれる有価証券を所有しております。みなさんもRMBS ですとかCMBS とかといった言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、RMBS はResidential Mortgage Backed Securities の略で「住宅ローン債権担保証券」を、CMBS はCommercial Mortgage Backed Securities の略で「商業不動産担保証券」を指します。話を単純化しますと、銀行などの金融機関が住宅を担保にした住宅ローン債権を束にして証券化を行ってできる有価証券が「住宅ローン債権担保証券」、銀行などがショッピングモール・産業用不動産・オフィス・ホテルなどを取得する投資家対して組んだ物件担保付ローン債権を束にして証券化を行ってできるのが「商業不動産担保証券」です。これらのモーゲージ証券に投資しているのがmREIT です。

では、mREIT はなぜ今のような局面で買われるのでしょうか?モーゲージ証券の多くは固定金利で発行されます。mREIT は自己資本でMBS を購入し、それを債券レポ取引(=例えば今日MBSを売却して3か月後にMBSを買い戻す)に回すことで、事実上保有MBS を担保として現金を調達できるので、この調達した資金でさらにMBS を購入して(=レバレッジをかけて)います。例えば満期まで15年のMBS を保有することで2.50%の配当収入がある一方、レポ市場での資金調達金利が0.20%だったなら、金利差の2.30% がmREIT の収入となるわけです。でも、よく考えればお分かりになるように資産サイドは15年満期のMBS で、負債サイドが3か月債券レポ取引などであった場合「世の中の金利が上昇したら損をしてしまうのでは?」という疑問が出てくるはずです。全くその通りで、この損失を最小限にするため、mREITでは金利上昇が見込まれる局面では「レバレッジを落とし」、「(固定金利のMBSは金利上昇時に値下がりするので)金利上昇リスクをヘッジするために金利スワップ取引などのデリバティブ取引を行う」ことで資産価値の下落を避けようとします。ですが、損害を100%防ぐことはできませんので、米国で利上げ観測が強まり、長短金利が上昇するとmREIT の株価は下落するのです。

振り返ってみればこの一か月弱、米国では「9月にはFRB が利上げをするのでは?」「遅くても12月には利上げがあるのでは?」といった観測が強まっており、米ドルの市場金利は上昇していました。なので、ここ数週間mREIT の株価はじわじわと下落傾向が続いていたのです。しかしながら、ここにきてユーロ圏はギリシャ問題による不透明感が強まり、アジアでは中国株が当局の度重なる株価対策にも関わらず下落を続ける中でFRB は本当に利上げに踏み切れるのか、という疑問が大きくなったために、米国の利上げ観測が弱まってmREIT の値が上がっているということです。

通常のREIT とは全く異なるリスク・特徴を持つmREIT が誰にでもおすすめできるような金融商品ではありませんが、米国にはこのような金融商品もあるということで一記事書かせていただきました。

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